その日の下校中、蒼空はなぜか不機嫌だった。


「なにか…あった?」

「あ?」

「機嫌悪くない?」

「別に」


いやいや、明らかに機嫌悪いから‼︎

でも触らぬ神に祟りなしだよね。


無言で歩いてると、ぐっと腕を掴まれた。


振り向くと、蒼空が俯いてて…


「どうし…」


「わりぃ」


「え⁉︎」


「俺、ほんとかっこわりぃな」


蒼空の口からハァッとため息が漏れた。

少し顔が赤い気も…


「自分でもこんなの初めてでどーしたらいーのかわかんねぇんだよ」


「え?蒼空悩みでもあんの?」


「は⁉︎まだ気づかねぇの?お前のことで悩んでんのに」


「私⁉︎」


「彩が男と話してんの見るだけでイライラが止まんねぇ。その男が渉だとしてもむかつくんだよ」


い、異常だ…

ヤキモチ焼いてくれるのは嬉しいけど、あの蒼空がここまで嫉妬深いとは。


「渉くんとは友達だよ?」

でもちょっと顔がにやけてしまう。