朱里先輩の顔が曇った。

しばらく沈黙があったあと、涙を浮かべた。


「蒼空は優しくて、好きだったけど…いつも不安だった。彼はすごくモテるから…私じゃダメだと思ったの。蒼空には言ってなかったけど、付き合ったのが原因でいじめられたりもしてた。その時に出会ったのが颯太で。彼に相談してるうちにどんどん惹かれてしまって」



「そんな…いじめられてたこと、どーして蒼空に言わなかったんですか!?蒼空は朱里先輩のことが好きだったのにっ…」


「どうしてなのかな…なんかね、言えなかったの。私は年上だし、弱いところを見せたくなかった。でも颯太にはすべて打ち明けることできたんだ。私のすべてを理解してくれて、受け止めてくれた。私、勝手だよね?あの二人仲良かったのに、それを引き裂いてしまったのは私なの」


私はなにも言えず、ただ立ち尽くしていた。


「だから今回こんなことになったのも私の責任だと思ってるし…私は平気だから気にしないでほしいの」


そう言うけど、朱里先輩の手は震えていた。