周りの先輩たちも桐谷くんにかかっていくのかと思い警戒していたのに誰もそんな雰囲気ではなく、逆になぜかオドオドとしているようだった。
な、なんでだろう…
「もう榎本さんに関わんないって約束できんの?」
「わ、わかった!約束すっから離せよ!!」
颯太先輩は物凄く痛そうにしている。
桐谷くんは掴んでいた先輩の腕を、更に強く引っ張った。
「こいつ泣かせていいのは俺だけだから」
先輩の耳元でそう言ったのを、私は聞こえてしまった。
そしてこんな状況なのにときめいてしまうなんて私ってバカ…。
桐谷くんが乱暴に手を離すと、颯太先輩は地面に尻餅ついて痛そうに腕を押さえていた。
「榎本さん、いこ」
「う、うん…」
振り返ると颯太先輩がこっちを睨んでいて身震いした。
まさか颯太先輩がこんなことする人だったなんて…
全然気づかなかった。
この前のことも仕組まれたことだったんだ…



