「好きです!!」



私、榎本彩(えのもとあや)は人生で初めての告白中。


目の前にいるのは1つ年上の荒木颯太(あらきそうた)先輩。


サラサラした茶色い前髪をかきあげて、そのままワシワシと頭を掻いた。



「あー、えぇっと…彩ちゃん…だっけ?ごめん、俺彩ちゃんの事よく知らないから」



颯太先輩は申し訳なさそうに俯いた。


告白して1分もしないうちにあえなく玉砕。



「あの…同じ中学で同じ委員会だったんですけど…覚えてませんか!?」


「同じ委員会?」


「はい、美化委員で…」


「ん~あんまり覚えてないな」



がーん。



「じゃ、じゃあ…友達とかでもいいので!!」



自分でもしつこいかな…と思ったけど、ここまできたら後には引けない。


必死に頭を下げる私に先輩は困り顔だった。