「ほら、予想的中」



たぶんあのアナウンス後、世界中のだれよりも早くに一言目を発したのは、真っ白なこの部屋の隅っこに転がる彼女なんじゃないだろうか。



「予想的中、じゃねーよユキ」

「言ってたでしょ、なんかざわざわするーって。こういう予感ってなんか昔から外れないんだよねえ、なんでだろ」



天井を見上げたまま、いつものようにゆったりゆったりと話す彼女。僕にはそれが、ひとり言なのか僕に話しかけているのかよくわからなかった。



「やばいじゃんこれ、僕らあした死ぬってことだろ」

「だね〜、死因が星ってのは考えもしなかったなあ」



「ま、アリだよね」なんて言いながら中断していたスマホゲームを再開する彼女に、僕はひとつため息を落とした。



「お前な、なんでそう落ち着いてるわけ。怖くないの」



あした死ぬっていうのにゲームなんてやってる場合か? そう口にする前に、ユキの指がぴたりと止まった。



「ハルちゃんさあ、それ本気で言ってんの?」

「え?」



顔も体も、目線さえもこちらを向かない。だけど、さっきまでの上の空の返事とは確かに違う声色だった。



「だってユキ、ずーっと死にたい死にたい言ってたんだよ。知ってるでしょ? むしろ願ったり叶ったりだし。神様ありがとーって感じ」

「お前はまた……」

「はいはいごめんね、また面倒くさいこと言って」