三宅リョウコ、27歳。


A型、154センチ。 5月6日生まれのおうし座。

優しい母と真面目な父の間に生まれ、賢い兄を持つ、ごく普通の家庭で育った末っ子長女。

好きな食べものはミルクキャンディー、嫌いなのは梨。 あの独特の水っぽさが苦手だ。


彼氏は三つ年下で、大学時代の後輩。
おっちょこちょいで危なっかしいけど、何事にも一生懸命。笑った時に見える八重歯がチャームポイント。私のかわいい彼氏。

親友は、家がお隣同士だった幼なじみ。
黒縁メガネがトレードマークで、長くて綺麗な黒髪は一度も染めたことがない。
いつも私のことばっかり気にしてる心配性。 私の自慢の親友。


あ、そうそう。 趣味は読書と小説を書くこと。 小説を書いていたことは親友にさえも言っていないから、このまま墓場まで持ってくつもりだ。



そして、そんな私には今ふたつの悩みがある。

まず一つ。


『三宅さん、聞こえてますか? 三宅さーん』

『リョウコ! 目を開けてリョウコ!』


私を呼ぶ声はしっかりちゃっかり聞こえてるのに、力が入らなくてなんの反応もできないこと。

体は鈍りみたいに重くてびくりともしないし、せめて目を開けることくらいはって思ったけど、どうやらそれも無理そうだ。