「もう大丈夫だろ、明日が来る前にお別れだ」
シルバーのスマホに表示された、23時57分の文字。
「……じゃあ、最後にひとつだけ聞いてもいい?」
地球最後の日まであと三分。 これだけは聞いておかないと死んでも死にきれないかもしれない。
「名前、なんていうの」
私は真面目に聞いたのに、彼は大きな瞳をぱちくりさせてから、「今さらすぎ!」と肩を震わせて大きく笑った。
たしかに今さらだけど、でもずっと聞くタイミング逃したなって思ってたんだ。 だからちょっと緊張してたのに……こんなに笑われるのは心外だ。
むっとする私に気がついたのか、彼は「わりーわりー」と乱れた呼吸を整えた。
「スバル」
スバル。その瞬間、すとん、と何かがぴったりハマったような気がした。
「あんたは?」
「……わたしは、ヒカル」
ああ、うん、そんな感じ。それだ。
スバルがそう言って笑った。出会ってからいちばんやわらかくて、やさしくて、泣きたくなるような表情(かお)だった。
星屑が降ってきたあの日よりも強い衝撃に、目の前がチカチカする。
「明日はもうケンカすんなよ」
「……しないよ」
「そっか」
「そうだよ」



