「なんか行かないとって気分になったんだよな、海に。よくわかんねーけど」
「行きたい、じゃなくて?」
「そ。 いつもならグースカねてる時間なのに全然ねれなくてさー。変な気分だった」
ふいに柄でもないことを言いそうになって、ふーんと可愛くない反応で誤魔化した。 すると、頭に手刀が飛んでくる。 普通に痛くてびっくりした。
「……普通手加減とかしない? 私、女の子なんだけど」
「可愛くなかったからつい」
「その顔に言われると何も言い返せないからやめて、私が悪かった」
たしかに可愛くない反応だったことは認めるけれど、柄にもなく可愛いげのあることは思ったよ。神様が引き寄せてくれたみたい、だなんて。
馬鹿にされそうだから言わないけど、でも本当にそう思ってしまったんだ。
「俺はこうなる運命だった気がするんだけどね」
言わない、と思っていたのと似たような言葉が彼の口から飛び出してきて、私はギョッと目を見開く。 あんまりにも簡単に言うから、聞き間違いなんじゃないかと耳を疑った。
「う、うんめい?」
理解するのに少し時間がかかった。 立ち止まって、一歩先で振り返った彼を見つめる。
「変?」
「……いや、私も同じようなこと思ってた」
「へーじゃあそうなんじゃね」



