☆
「だー、めんどくせーねむてえー」
となりで歩く彼が隠すことなく私への文句を垂れ流す。 また嫌味かとむっとしたけれど、大きなあくびをして目をこする彼は、実際に心の底からそう思っているのだろう。
行儀悪く歩きスマホをする彼のそれを覗きこめば、端っこのほうに23時32分と表示されていた。 そりゃ眠くもなるはずだ。
今日が終わって、もうすぐ明日がやってくる。
「ねむたい、まじで寝れる」
「ごめんって、もうすぐだから」
ふたりでどこへ向かっているのかというと、海だ。あの星が降り注ぐ海。
電話をしてお母さんが車で私を迎えに来てくれることになった。それはいいが田舎なので目印になるものがない、ということで海で待ち合わせをすることになった。 スタート地点に戻る、だ。
「あーねる、ねた、もうむり」
「だめ起きて! あんたのスマホないと、もしもの時お母さんと会えない」
「いーよあげるよもういらねーし」
綺麗な笑顔を貼っつけて、ほらよ、と私にスマホを握らせる。綺麗すぎて逆に嘘くさい。
「……私がひとりで戻れないのわかってて言ってるんでしょ」
「せいかーい」
来たときは、ひとりでだってスキップして進めちゃったはずの道は、もう一度引き返そうとするとなぜかとても心細かった。 だから「帰りたい、ねむたい」と言う彼を無理やり引っ張ってきたのだ。
「だー、めんどくせーねむてえー」
となりで歩く彼が隠すことなく私への文句を垂れ流す。 また嫌味かとむっとしたけれど、大きなあくびをして目をこする彼は、実際に心の底からそう思っているのだろう。
行儀悪く歩きスマホをする彼のそれを覗きこめば、端っこのほうに23時32分と表示されていた。 そりゃ眠くもなるはずだ。
今日が終わって、もうすぐ明日がやってくる。
「ねむたい、まじで寝れる」
「ごめんって、もうすぐだから」
ふたりでどこへ向かっているのかというと、海だ。あの星が降り注ぐ海。
電話をしてお母さんが車で私を迎えに来てくれることになった。それはいいが田舎なので目印になるものがない、ということで海で待ち合わせをすることになった。 スタート地点に戻る、だ。
「あーねる、ねた、もうむり」
「だめ起きて! あんたのスマホないと、もしもの時お母さんと会えない」
「いーよあげるよもういらねーし」
綺麗な笑顔を貼っつけて、ほらよ、と私にスマホを握らせる。綺麗すぎて逆に嘘くさい。
「……私がひとりで戻れないのわかってて言ってるんでしょ」
「せいかーい」
来たときは、ひとりでだってスキップして進めちゃったはずの道は、もう一度引き返そうとするとなぜかとても心細かった。 だから「帰りたい、ねむたい」と言う彼を無理やり引っ張ってきたのだ。



