あした、地球に星が降る。





「だー、めんどくせーねむてえー」



となりで歩く彼が隠すことなく私への文句を垂れ流す。 また嫌味かとむっとしたけれど、大きなあくびをして目をこする彼は、実際に心の底からそう思っているのだろう。

行儀悪く歩きスマホをする彼のそれを覗きこめば、端っこのほうに23時32分と表示されていた。 そりゃ眠くもなるはずだ。

今日が終わって、もうすぐ明日がやってくる。



「ねむたい、まじで寝れる」

「ごめんって、もうすぐだから」



ふたりでどこへ向かっているのかというと、海だ。あの星が降り注ぐ海。

電話をしてお母さんが車で私を迎えに来てくれることになった。それはいいが田舎なので目印になるものがない、ということで海で待ち合わせをすることになった。 スタート地点に戻る、だ。



「あーねる、ねた、もうむり」

「だめ起きて! あんたのスマホないと、もしもの時お母さんと会えない」

「いーよあげるよもういらねーし」



綺麗な笑顔を貼っつけて、ほらよ、と私にスマホを握らせる。綺麗すぎて逆に嘘くさい。



「……私がひとりで戻れないのわかってて言ってるんでしょ」

「せいかーい」



来たときは、ひとりでだってスキップして進めちゃったはずの道は、もう一度引き返そうとするとなぜかとても心細かった。 だから「帰りたい、ねむたい」と言う彼を無理やり引っ張ってきたのだ。