「だけどハルちゃんだけはずっとユキの味方でいてくれたでしょ。やっぱりユキにはハルちゃんしかいないんだよ、あの時も今も」
涙に濡れた今にも壊れてしまいそうな笑顔。僕を見上げる19歳のユキが、制服に身を包んだあの日のユキと被った。
はじめて僕らがキスをした日。 あの日の彼女はまだ、日に焼けていて健康的な体をしていた。
「ユキは、ハルちゃんに救われたの」
もしそうだったなら、どれほどよかっただろう。
でも、あの日から毎日「死にたい」「死んだほうがマシ」と嘆く彼女を。こんなにも痩せてしまった彼女を。今でもこんなに苦しんでいる彼女を。
救えた、だなんて到底思えない。
僕はこのゆるやかな檻に彼女を受け入れてしまったあの日から、もうずっと選択を誤り続けていたんだ。
「ユキ、よく聞いて」
「いやだ……聞かない、聞きたくないっ」
ユキが耳を塞いで声を荒らげる。
「いいよそのままでいい、ユキのわがままばかり聞いてた僕の最初で最後のわがままだ」
「……そんな言い方ずるい」
どんな風に言われたっていい。 ただ、君にこの話を聞いてほしい。 そして、きっと僕は泣いてしまうだろうけれど、どうか君の本当の気持ちをあの日々のように吐き出して。
それが、僕のせめてもの償いであり、切なる願いだ。



