「あんなキラキラのなかで最期を迎えるんだよ。 そうだ、最後のご飯はふたりでオムライス作ろうよ」
「ユキ、」
「ケチャップで名前書いてあげるよ。それでお腹いっぱいになったらベッドに寝転がって、手繋いで、この部屋でハルちゃんとふたきりで、」
「……ユキ‼︎」
びくりと小さな肩が震える。 例の嫌な予感とやらがしたのかもしれない。 振り返ったユキの目には涙が溜まっていて、僕は思わずその肩を抱き寄せた。
「なあ、ユキが家出してきた日のこと覚えてる?」
「……覚えてるに決まってるでしょ」
この二年間一度も触れてこなかった話を持ち出す僕に、ユキは恨めしそうな声で言う。
「高二の冬! 友達全員いなくなって、親に気持ち悪いって罵倒されて、お兄ちゃんにこっぴどく振られた最悪の日!」
ユキがドン!と僕の胸を叩く。 鼻をすする音が聞こえて、泣いてるんだとわかった。
「いま思い出しても馬鹿だって思うよ! 勢い余って外で実の兄に再告白なんてしちゃってさ、おまけにクラスの男子に見られてんの! 誰だって気持ち悪がるのわかってたのに、ほんと考えなしの馬鹿で……っ」
白くて細いユキの体は、少しでも乱暴に扱えば折れてしまうんじゃないかと思うほど儚い。



