生徒にウソをつくのも正直、心が痛い…。




でもこの辺は割り切っていかないと教師はつとまらない。




これはウソではなく生徒のため…




そう何度も自分に言い聞かせる。




なのに…上原には本当の事を言ってしまった。




上原も俺が好きなんじゃないかって勝手に思って…。




普通…好きでもないヤツとはキスしないよな…?




俺だってそうだから…




それとも…




上原は好きでもないヤツと平気でキスしたりするのか?




違う…




上原はそんな子じゃない…




見てれば分かる。




でも誰とも付き合おうとしない…




俺が好きだから…か?




そう思いたいが、それも違うだろう。




だって1年の頃から告白されても誰とも付き合う気はないって言ってた。




それは俺と出会う前だから…。




だから俺を好きだからはありえない…




もしかして…忘れられない人でも…いるのか?




たとえ、上原と両想いだったとしても俺はそれに答える事はできない。




俺は教師で…お前は生徒だから…。




もし俺がこの職を捨ててもいい程にお前を好きになってしまったなら…




その時は…




何もかも捨てても俺の全てをかけて




上原 彩音を受け止めるよ…。




今は…まだ無理だ…。