「智希、一体どういうつもりだ」




「言っとくけど、俺は別れるつもりはないから」




「クビになってもか…?」




「あぁ…」




私は智希がクビならないように、嘘を言おうと思った。




でも…智希の真剣な顔を見てたら…




そんな事できない…。




「あの…私、遊びで智希さんを好きになったわけじゃありません。この関係がバレたら…どういう事になるのか、ちゃんと分かってます」




智希との事、真剣だって分かって欲しい…




もし、私との事が原因で智希が親とギクシャクしてしまったら…




私も辛いから…。




私みたいに…悲しい思いはして欲しくない。




「私…中学の時に親に捨てられたんです。それ以来、ずっと1人で暮らしてきました…それが原因で前の担任ともいろいろあって…教師すら信用できなくなってました…」




その時…智希の手が私の手をそっと包んでくれた。




泣いちゃダメだ。泣いてちゃ…ちゃんと伝わらない。




「そんな時…瀬名先生が担任になって、私の事を救ってくれました。ちゃんと話しも聞いてくれて…ダメなトコはちゃんと叱ってくれます。そういう人を好きになるなって言うんですか?教師だったら…好きになっちゃいけないんですか?」




この気持ちに嘘偽りはない。




「はっはっはっ…」




涙が溢れたのと同時に、校長先生のバカ高い笑い声が響く。




「えっ…??」




智希と私は顔を見合わせるばかりで、訳分からない。