バスは、ゆっくりと出発した。




梨華が気になって、後ろを振り返ると、友達と一緒に座って楽しそうに話してる。




よかった…1人じゃなくて…




「やっぱり…田上と一緒がよかった?」




「えっ…」




こんなに間近で見つめられると


ドキドキしちゃうよぉ…




静まれ!!私の心臓…




耐え切れなくて俯いた。




「だって…仕事やるんだよね?どこから?」




本当は…ずっと隣に乗っていたいけど…




このままだと心臓が持たない。




そんな私の気持ち、知ってか知らずか…




智希は、私の耳元で囁き始めた。




智希の息が…私の耳に届いちゃうよ…




「仕事はもう終わってる。ただ、俺が彩音と一緒に座りたかっただけ」




えっ…?




そんな事言われたら…期待しちゃうよ…?




「最高の修学旅行にしような」




「うん…」




ヤバイ…




マジでヤバイよ…




こんなんじゃ…もう頑張れないよ…




こんなにドキドキさせてるんだから…




責任とってよね…




クラスのみんなから智希にカラオケのリクエストが回ってきた。




「仕事してるから、1曲だけだぞ」




クラスのブーイングなんて全然気にせず、曲を入れた。