「瀬名っち、知ってるの?」




「ううん…言った覚えない」




だって…自分でも忘れてるぐらいだから…




今からでも遅くはないよね?




やっぱ、誕生日は1番大切な人と一緒にいたいもん。




言ってみよう…




会いたいって…




「今日、言ってみる」




「瀬名っちの事だから、きっと慌ててプレゼント買いに行くんじゃない?」




「そうかなぁ…」




梨華と早目に別れて、学校に行った。




教室に入ると、智希がいた。




「お〜、早いな」




「だって…先生に会いたくて…」




智希ったら、学校なのに私を抱きしめていた。




「先生って呼ばれるのもいいよな…やっぱ。学校で先生って呼んでくれるのお前だけだし」




わざとだって…知ってる?




本当は、私だって瀬名っちって呼びたいけど…




みんなと同じはイヤ…




「先生…」




「何…?」




「30日の夜…空いてる?」




智希は、きっと満面の笑みで『空いてる』って言ってくれる。




そう思ってた…




「ゴメン…俺、明日から出張になったんだ。今日言われてさ。一週間は帰れない」




一週間は…帰れない…?




仕方ないよね…急な出張は教師に付き物だから…




でも…その日だけは…




会いたかったな…