それから、夜の海に向かって出かけた。




車でも3時間かかる遠い所。




近くにも海はあるけど…やっぱり、人目が気になるから。




久しぶりのデートだから人目も気にせず、思いっきり楽しみたい。




「智希…ゴメンね。ずっと運転するの、疲れるよね?」




「全然!彩音の為だったら何処まででも運転するよ」




そう言って、ニッコリ笑う。




本当…私には、もったいないくらい…




最高の彼氏…




どうして…私なんか好きになってくれたんだろ?




あんなに、教師なんか毛嫌いして、愛想笑いもできなかったのに…




生徒として、いい所なんて全然なかったのに…




「智希は、いつから私の事…好きだったの?」




「入学式の時…一目惚れしたんだ…」




入学式って…そんな前から…?




入学式…? 何か、智希と関わったかなぁ?




全然、覚えてない…




「入学式の時、代表で挨拶読んだだろ?あの時、目が離せなかったんだ…」




緊張した事だけは、覚えてるんだけど…




「この前まで、中学生だった子に一目惚れとかありえないって自分の中で気持ちを抑えてたんだけどな、無理だった。知らなかっただろ?」




「うん…」




「なぜか、田上にはバレてたけどな」




そうだった…梨華は知ってたんだよね…




全然、気付かなかったし…