…だから、キミを追いかけて

4人を手伝いながら花火の打ち上がる音と歓声を聞く。
この会場の入り口に佇む人のことを考えない様にする。
それでも、全く頭から失くすことなんてできない。

胸の中が騒つく。

早く諦めて帰って欲しい…と、強く願ってばかりいる。





「波留のヤツ、今頃、熱い思いしとるんやろーな」

あらかた掃除を終えた海斗さんが、海の方を眺めて言った。

「大変よね、毎年あれを間近で見るんやから」

打ち上がる花火を見上げながら佳奈さんが付け足す。

どういう事なのか分からず、澄良の方を振り返った。

「花火と波留って、何か関係あんの?」

鉄板を拭き上げていた彼女が手を止めて笑う。意味深なその笑みを不思議そうに見返した。


「波留はね、毎年船の上から花火を見守る役目をしてんの。火事になったら大変だから」
「火事? 」

「うん。波留、消防団員だから」

「消防団⁉︎ それって、もしかして本業⁉︎ 」

「うん!そうだよ。町の消防団に勤務してんの。だから毎年、海の上で花火見ないで打ち上げ見守ってる」

「大量の火薬積んでるんやもんなぁ、おっかねー!」

「あんたには絶対真似できん仕事やね」

星流夫婦の会話を聞いて海斗さんが笑う。

波留の仕事を初めて知り、改めて沖の方を見つめた。



暗闇の中に花火を打ち上げる船と、それを見守る人達の乗った船がある。

夜空に花を咲かせながら、何事もないことを祈る。

楽しみだけでは語れない祭りの裏側を、私は今夜、初めて知ったーーー。