…だから、キミを追いかけて

『展望テラス席あります』

道沿いに作られた看板に手書きの文字でそう書かれてあった。

黒く塗った板に映える水色の文字。嫌が応にも目を引く。
初めてきた者じゃなし…と思う私でも、何となく寄りたくなってしまうものがあった…。


道沿いに作られた駐車スペースに車を停めて降りた。
カフェの出入り口付近では、写真入りの大きな看板が置かれ、メニューが分かるように表示されている。

飲み物以外にも軽食が準備されていて、特にピザが人気らしい。



「いらっしゃいませー」

ドアを開けて中へ入ると、髪を二つに結んだ女の子が元気よく迎えてくれた。
何処かで会ったような気がするのもきっと、ここが地元の町のせいだろう。


「…テラス席、空いてますか?」

キョロキョロと店内を見渡して聞いた。


「空いてますよー。どうぞー!」

店内から外へ出るドアを開けてくれる。
白いドアを抜けて表に出ると、大海原が拡がった。


「うわぁすごい……いい眺めですね……」


見渡す限り邪魔なものは何もない。
180度近い大パノラマを見つめながら案内される席に座った。


「ご注文がお決まりになる頃、お伺いします」

「…あっ、注文は決まってるの。表のメニューに書いてあった星空フロート下さい」

テーブルの上に置いてあるメニューを指差して頼んだ。

「星空フロートですねー、少々お待ち下さいー」

いちいち語尾を伸ばす言い方をどうかと思いながらも、目の前に広がる景色に心奪われる。
自宅にいては決して味わえない開放感に浸りながら、ふと他の座席に目をやった。