記憶は上書きされない。
こんな変化もない所じゃ何も変わらない。
時が止まったままのような感覚がする。
歩き出したくても、うまく足が出せない。
(何も変わらない……!ここに居たら駄目だ……!)
怖さが増すばかり。
一歩も前に出れなくなるーーー
外に出なければ……店に戻らなくては……
ーーーー分かっているのに、車から出られなかった。
一時的に降った大粒の雨は収まり、小雨になっても車中に留まった。
ぼんやり…と外を見ていた。
泣いた後は、いつも頭がぼぅっとする。
何も考えられない。
自分が自分じゃない気がするーーー
「……おいっ!」
ゴツッ!という音と共に、波留の声がした。
運転席側のドアガラスに腕を張り付け、怖い顔をして覗いている。
「キヨが心配してるぞ!いい加減戻って来い!」
ぼうっとしたままでいる私を怒鳴った。
遠のいていた意識が戻って来るような気がした…。
(…そうだ…皆と一緒に飲んでたんだ…)
カチャ…とドアを開けた。
体を滑らせ、車外へと足を伸ばす。
そのまま動けない。
頭痛が…激しい……。
「気分悪っ……」
吐きそう。
目眩までしてきた。
「うわっ!待て!吐くな!!」
目の前にいる波留の声が聞こえたのはそこまで。
……後は全部、闇になったーーーーー
こんな変化もない所じゃ何も変わらない。
時が止まったままのような感覚がする。
歩き出したくても、うまく足が出せない。
(何も変わらない……!ここに居たら駄目だ……!)
怖さが増すばかり。
一歩も前に出れなくなるーーー
外に出なければ……店に戻らなくては……
ーーーー分かっているのに、車から出られなかった。
一時的に降った大粒の雨は収まり、小雨になっても車中に留まった。
ぼんやり…と外を見ていた。
泣いた後は、いつも頭がぼぅっとする。
何も考えられない。
自分が自分じゃない気がするーーー
「……おいっ!」
ゴツッ!という音と共に、波留の声がした。
運転席側のドアガラスに腕を張り付け、怖い顔をして覗いている。
「キヨが心配してるぞ!いい加減戻って来い!」
ぼうっとしたままでいる私を怒鳴った。
遠のいていた意識が戻って来るような気がした…。
(…そうだ…皆と一緒に飲んでたんだ…)
カチャ…とドアを開けた。
体を滑らせ、車外へと足を伸ばす。
そのまま動けない。
頭痛が…激しい……。
「気分悪っ……」
吐きそう。
目眩までしてきた。
「うわっ!待て!吐くな!!」
目の前にいる波留の声が聞こえたのはそこまで。
……後は全部、闇になったーーーーー

