義務のように決めつけて、それで自分が幸せになれると思った。


……念願だった都会生活を、私はそんな形で始めたーーーー。



さざ波を聞くと、ろくでもない事を思い出す。
何度思い出してみても恨めしくなる。

あの時の浅はかな自分の行動を呪う。
あの日、雨さえ降らなければ、私は今もこんなに悔やんだりしない。


初めての相手が悪かった訳じゃない。
自分が愚か過ぎただけ……。



ーー鉛のように重い心と体を引きずって帰ってきた。

癒してくれるのは、故郷しかないと思った。

バランスを崩しながらも、なんとか立ち直って生きたい。

あの人との思い出が全て夢のように消え、体の中に何も残らなくなるといい。


一つ一つを上書きしたい。

あの日の出来事も全部……打ち消してしまいたい………。

………そう考えて。




ーーーーいつの間にか、眠り込んでいた。

打ち寄せる波の音に漂いながら微睡む自分。


……揺り籠に眠ることもなく散った小さな命の様に


穏やかな時間が、そこに…流れていたーーーー。