「キヨ…」

背後にいた男性が澄良を呼んだ。
紺色のバンダナを巻いてる。
もしかして、澄良の旦那さん…?

「海斗さん!…私の友達!篠原夕夏ちゃんって言うの!高校時代、スゴく仲良かった人!」

振り向きざまに紹介される。ちょこん…と頭を下げた。

「初めまして。篠原です…」

カウンターから出てくると、男性は夕夏の側に立った。

「初めまして。キヨの亭主で、浜崎海斗(はまさき かいと)と言います」

目鼻立ちのはっきりした男性は、爽やかに微笑んだ。
浅黒い肌をしている。
島の人だと言っていた、澄良のお母さんの言葉が思い浮かんだ。

「どうぞ、ゆっくりしてって下さい。今日は平日でお客さんも少ないし、外の席も空いてるから…」

バルコニーの席を勧められた。

「ありがとうございます。じゃあ外の方で…」

「オッケー!行こ行こ!」

背中を押されて歩きだす。
店内から外に出てみると、海側に作られたバルコニーからは白い砂浜が見渡せた。



「いい景色だね…」

海の上にカラフルな色の浮き輪が浮かんでいる。
近くの海水浴場から観光客が泳いでくるせいだ。

「…結構人多いでしょ⁉︎ でも、声までは届かないから…」

何にする…?とメニューを差し出された。

「ヨーグルトシャーベットにしようかな…」

甘酸っぱい物が食べたい気がして頼んだ。

「オッケー、ヨーグルトシャーベットね!少々お待ち下さい」