…だから、キミを追いかけて

真剣な眼差しで、母は私の話を聞いていた。真摯な態度で向かい合い、自分のことを語り始めた。


「私はあんたができたと知って、嬉しかった。大好きな人の子供やから『大切にしよう』…って思った…」

結婚も何も決めていなかったけれど、父の子を妊娠した自分を愛しいと思ったそうだ。

「お父さんとは…別れることになるやろうと思っとった。あの人はこの町に向かん……それは、よう分かっとったけぇ…」

「なら、なんで私を産んだん⁉︎ 産まんかったら、お母さんにだって、もっと別の人生があったのに…!」


両親のことを、繋ぎ止める存在にもなれなかった。
私自身、独りになることもなかった。

…自分の存在が恨めしい。
今の私にとって、この世で生きることは、苦痛以外の何ものでもない…!

「夕夏を産んだら、私は一人じゃなくなる。例えお父さんと別れることになっても、大事な人の子供が残るならそれでええ……そう思ってあんたを産んだ。私は、自分の選択は、間違っとらんと思うとる!この生き方に、自信を持っとる!夕夏を産んで良かった!やから、あんたにも、間違った生き方をして欲しゅうない!大事に生きて欲しい!……私は……不幸な子供は産んどらん!!」


睨むような仕草で母は言いきった。
握りしめた手が開く。
びしょ濡れになった手を拭きもせず、ぎゅっと私を抱きしめた。


「夕夏は私の大事な子や!生まれてきてくれて有難い!やから…自分を恨まんとって欲しい!大事に…生きて欲しいっ!」