取りつく島もなく家の中へ入られた。
せかせかと小ネズミのように動き回り、昼の支度を済ませる。
さらさら…とお茶漬けを啜りながら食事する母に、声もかけられずにいた。
祖母は呆れる様な顔つきで母を見ていた。
母はそんな祖母の視線をわざと無視するようにしている。
簡単なお昼を食べ終わり、炊事場へ行こうとする。
その背中を追いかけた。
「お母さん…話を聞いて!」
祈る様な気持ちで訴えた。
食器洗いのタライの中にお茶碗を漬け込み、母が後ろを振り返る。
怒った様な顔が哀しそうだった。
いつものような強気な母じゃない。
見た事もない様な切なそうな顔をして、ぼそっと言葉を吐いた。
「……何ね…」
嘘ばかりついてきた娘の言うことを聞こうとしている。
その思いに感謝しながら、私は言葉を発した。
「私…妊娠していることを知った時、すごく怖かった…。相手の人から、『産んでいい』とも言ってもらえんで、逆に『産むのか?』って問いかけられて。…2人の間にできた子なのに、そんな感覚がまるで持てんかった。……だから……産みたくないって思ってしもうた…。それで、流産したんや…とずっと考えとった。……お母さんは私を妊娠した時、怖くなかった⁉︎ お父さんと結婚して、うまくいくと思っとった⁉︎ 」
都会もんの父と恋をしても、この町から出られない自分は分かっていたと思う。
なのに、何故、私を産んだのか。
父と別れることになると、不安に思わなかったのか……。
せかせかと小ネズミのように動き回り、昼の支度を済ませる。
さらさら…とお茶漬けを啜りながら食事する母に、声もかけられずにいた。
祖母は呆れる様な顔つきで母を見ていた。
母はそんな祖母の視線をわざと無視するようにしている。
簡単なお昼を食べ終わり、炊事場へ行こうとする。
その背中を追いかけた。
「お母さん…話を聞いて!」
祈る様な気持ちで訴えた。
食器洗いのタライの中にお茶碗を漬け込み、母が後ろを振り返る。
怒った様な顔が哀しそうだった。
いつものような強気な母じゃない。
見た事もない様な切なそうな顔をして、ぼそっと言葉を吐いた。
「……何ね…」
嘘ばかりついてきた娘の言うことを聞こうとしている。
その思いに感謝しながら、私は言葉を発した。
「私…妊娠していることを知った時、すごく怖かった…。相手の人から、『産んでいい』とも言ってもらえんで、逆に『産むのか?』って問いかけられて。…2人の間にできた子なのに、そんな感覚がまるで持てんかった。……だから……産みたくないって思ってしもうた…。それで、流産したんや…とずっと考えとった。……お母さんは私を妊娠した時、怖くなかった⁉︎ お父さんと結婚して、うまくいくと思っとった⁉︎ 」
都会もんの父と恋をしても、この町から出られない自分は分かっていたと思う。
なのに、何故、私を産んだのか。
父と別れることになると、不安に思わなかったのか……。

