「……夕夏……あんた……」
ヨロヨロしながら部屋に入ってくる。
信じられない…って顔をしている。
無理もない。
寝耳に水の話だから……。
「……妊娠…って何ね?…夕夏がしとんの……?」
問いかけられる。
否応無しに、親としての疑問をぶつける。
「あのな、美帆……」
話しかける祖母を手で止める。
黙っておけない…。
嘘をついても、いずれはバレる……。
……波留の時と…同じように………
「……3ヶ月前…流産したんよ……子供はもう……おらん……」
ぎゅっ…とお腹の前で手を組んだ。
「……相手とも…別れたから……」
ーーーだから、帰ってきた……。
ここへ…
この町へ………
静まった部屋の中で、母がヘナヘナ…と座り込んだ。
目の奥に潤んだ涙が、滝のように流れ始める。
ーーーー見たくなかった…。
その姿だけはーーーー

