…だから、キミを追いかけて

家に帰り着くと、祖母が驚いた顔で飛び出してきた。

「具合はどんな⁉︎ 」

澄良から電話があったらしく、より一層心配をかける。

「ごめんね…寒気はいくらか治ったよ……澄良の家で…薬を飲んだから……」

フラフラしながら車外へ出た。


「すんません……俺もなかなか気づかんと、引っ張り回して…」

波留が出てきて謝る。

「波留のせいじゃないけぇ…私が気づくのが遅くなっただけ……」

橋の上にいた時から、少し寒いな…と思っていた。
でも、それを無視していたから、こうなった…。


「……今日はありがとう…。楽しかった……」

余計な事言って驚かしたけど、黙っといてね…と付け加えたい。

「…あ…いや、こっちも……」

聞かなかったことにしようとしてくれている?
…だったら、有り難いけど……。


祖母に支えられながら、よたよたと歩く。
足取りは覚束ない。

看護師に支えられて、手術に向かったあの時のようだーーー。



「夕夏…」

囁くような声に振り向いた。
片想いの先輩は、日焼けした顔に笑みを浮かべ、こう言った。

「今度…また連れてってやる。今日の続きの場所」


「…うん……」


泣きそうになる様なことを言わないで欲しい…。

(……嬉しいけどーー……)


涙ぐみそうになる。
自分の予想とは違う、波留の言葉があったせいで…。

知らん顔しようとしてくれている。

優しい態度を見せるせいで……。


そのまま…

掘り返さないで。

もう……終わってしまったことだからーーーーー