…だから、キミを追いかけて

「いい恋しているね。波留は」

羨ましい。
私もしてみたい。


「アホか!それ以上言うと怒るぞっ!」

そう言いながら、既に怒っている。
怒るっていうことは、図星ってことだから……

「私、波留のこと尊敬する!片想いの大先輩やと思うことにする!」

好きな人なんて1人もいないけど、誰かを想っている時点で波留は私より先輩だ。


「先輩、もしも私に好きな人ができたら相談に乗って!一緒に話そう!片想いの辛さや切なさ!」
「ブッ!!!」

コーヒーを吹き出しそうになった波留が、慌てて口を押さえた。


「汚なぁ…吹き出さんとってよ⁉︎ 」
「だったらもう何も言うなっ!黙っとけ!!」

怒鳴られた。

それから先は、口を開こうとする度に睨まれた。


「……つまんない…」


小さな声すらも睨まれる。
子供みたいな大人は扱いにくいって、よく分かった。





町内へ戻ると、波留は橋を渡り始めた。

「あ……私の車……」

町内なら自分で運転したのに…。

「ええから置いとけ。盗られそうなもん入っとらんのやろ?」
「そりゃ……でも……」

さっきからずっと睨まれどうしで、雰囲気悪いんだもん…車の中……。

「ええとこ見せたるけぇ。そのまま置いとけ」

怒りも薄れてきたみたい。
いつもの口調に戻った。

「うん…」

こっちも穏やかになる。

「ねぇ、次はどこ行くん?」

「そこ!」

ウインカーを点け、左の路側帯に入った。