…だから、キミを追いかけて

最後はブツブツ…と言葉を濁した。

自分の恋愛話なんてどうでもいい。今はただ、片想いの強さが知りたい。


「俺の話なんか聞いても役に立たんぞ!」

しめしめ…と振り返る。

人助けを仕事にしている人は、根っからの世話好き。芯から人を嫌えない。助けたくなる…と聞いた。


「俺の場合は…まず絶対、揺るがん。ずっと、一人だけを想う。時間が経って変わるものなら…最初から好きになったりせん!」

力強さに圧倒される。
惚れ惚れするような言葉の数々に、エールを送りたくなった。



「すごい!私…今、かなり感動してるよ……!」


相手が澄良でなかったら…

人妻でなかったら…

波留の恋愛が成就するお手伝いをきっとしたと思うのに……


「でも残念!相手が澄良じゃ応援もできんね」

せめて結婚する前なら、まだ何とかなっていたのに。

「余計なこと考えんでええわ。俺と海斗とキヨ、今の関係がベストやから」

決めつけたような言い方をする。まるで最初から、片想いしてたいようにも聞こえる。


「波留……」


見た目以上に臆病なの⁉︎
それとも…海斗さんの為……⁉︎


言い出せないまま無言になる。
波留の気持ちは、彼のものだから。



「お前…今日変やぞ。何かあったんか?」

不思議そうに聞かれた。
誰かの恋愛を応援したい…なんて、私らしからぬことだと思ったみたい。