「…海斗さんの妻……」
ーー現実。
辛いけど、事実。それだけは…変わらない。
「やろうが。なのに、俺のそばかすの事なんて気にすると思うか⁉︎ しねーだろ⁉︎ 普通。するとしたら、海斗の方やろ⁉︎ 」
「……そうよね…」
そうだけど……って思う。
でも、どうしても引っ掛かる。
薬味の好みを知っていた…澄良の態度が……
「お前な、朝から人の気持ち逆撫ですんのやめろ!気分悪りぃ!」
「ごめん。ちょっと気になることがあったから……」
澄良の気持ち。
海斗さんと一緒になって、本当に幸せなのかな…って思う。
仲睦まじそうには見える。
幸せそうで羨ましい程。
でも……実際はどうなんだろう。
海斗さんと結婚する前、他の人に心奪われたりしなかったんだろうか。
ずっと…海斗さんだけを、想ってきたんだろうか。
「ねぇ…人を想い続けるって辛い?気持ちグラついたりせんの⁉︎ どう⁉︎ 」
愚問。
自分には分からないから波留に尋ねている。
「知るか!そんな事!」
やっぱりね…って反応。
そうだよね。教えてくれる訳ないか。
「そっか。波留にも分からないんや……」
残念そうにする。
放っとけない人の弱い所を知っている。
背中を向け、とぼとぼ…と歩き出した。
「私…人を好きになるってよう分からん。1人を想い続けるのも努力がいるし…恋愛に向かんタイプって言うか……もう懲り懲り…と言うか……」

