「2時間⁉︎ まさかこの姿勢のままでずっと寝んの⁉︎ 」

……って事は何⁉︎ 私もこのまま動けない…って訳⁉︎


「えっ、やだ……このまま朝までとか…ないよね⁉︎ 」

頭一つ分と言っても重い。まだ5分も経っていないのに、結構肩が痺れてきた。


「起こしちゃ駄目なん⁉︎ 揺さぶるとかしたら…」

「やめとけやめとけ。起こしたら、えらー機嫌悪いけぇ」
「寝起きの悪さときたら最高やから……気の毒やけど、そのまま居てやって」

「居てやって…って……皆は⁉︎ 」

帰り仕度始めている。
もしかして私、ここに置き去りとか?

「俺ら明日、店あるけぇ帰るわ。そいつ頼むね」

肩に荷物を担いで海斗さん達がテントを出て行く。

「ちょ…ちょっとぉ、澄良ぁ…」

困り果てて手を伸ばす私を、澄良はくるっと振り返った。

「またね!波留のことよろしく!」

ウインク⁉︎
どういう意味⁉︎ それ⁉︎


やいのやいの…と帰って行く後ろ姿を、ただ呆然としたまま見送る。

生き直そうと決めた途端にこれ⁉︎

どうしてなの⁉︎

「……ねぇ…波留ぅ……早く起きてよぉ……」

ビール1缶じゃ割合わない。
こんなのに付き合わなきゃならないなんて……今日は天中殺か何かなの⁉︎


(航と言い波留と言い……私……男運悪すぎ⁉︎ )


そよそよ…と海風が吹き始める。
その風を身に受けながら、肩に乗った頭を避けるに避けれない自分を大いに呪った。