教室は暗かった。


聡が刺された後、遊樹が犯人に踵落としを喰らわせて気絶させ

警察に引き渡した。


しかし、犯人は一応同じ学校の同じクラスの人間。


……クラスメイトの顔は暗かった。



学級委員長でクラスでひっそりと人気のあった人間が刺された事により、


みんな悲しんだ。


一番酷かったのは小毬だった。



自分の所為で…


自分が悪い…



そう自分を戒めていた。





「聡……大丈夫かな…?」

「さあな……」


聡が毎日変えていた花も、変える人間が居なくなってすっかり萎れてしまった。


そんな花を見て、心配そうに呟く煜。

「……聡は結構図太いとこあるから大丈夫だって信じてるけどさ…

でも、心配。



聡も…清水ちゃんも……」


「……だよな〜…


ずっと目赤いもん


生徒会長とかが言い聞かせてるんだろ?

『聡は生きてる』って」


「うん。

それでも辛いよね…


自分を庇った所為で…って

僕だったら辛すぎて学校来れないもん」



小毬は自分の机に座り込んで俯いていた。


小毬と一応仲の良い人間が必死に話しかけてはいるが、時々虚ろな目で答えるだけだった



「……そういえばさ、聡の持ってた手紙。

あれ、清水ちゃんに渡したんだよね?


内容なんだったんだろ?」


「しーらねっ!


この間見ようとしたら鬼の形相で追いかけてきたんだぜ?

あんな聡初めて見たわ…」


2人が話す手紙は、今は小毬が持っており

内容は小毬も開けてないらしい。



開けてしまったら、全てが終わってしまう。

そんな気がして怖くて開けられなかった。