気付けば飛び出していた。
小毬が刺される
そう思ったら不思議と足が動いた
疲れた足が疲れていないように動いた
「がっ……あ…」
血が込み上げてきて口から吐き出す
足が震える。
地面に座り込む。
凶器を引き抜かれた事により、
傷口から血が溢れる。
意識が朦朧とする。
意識が…意識だけが……
何もない暗闇に落ちていく感覚だけが鮮明にわかる。
死にたくはない。
イヤだ……!
まだ…小毬に……伝えてない…!
「さ、としさん……?
なんで…なんで……!」
「こ、まり……
ごめん…で、も…無事でよかった……
こ…れ……を」
生徒会室に行く時に入れ替えていた手紙を小毬に渡す。
渡す時に手が震える……
渡した瞬間、限界がきたようで手に力が入らなくなり
重力に従って落ちる。
……くっそ…
結局…俺、なにも……
意識が落ちる瞬間、聞いたのは…
「あ…ああ、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎」
小毬の叫び声だった
ごめん……守ってあげられなくて………