「…聡さん……おはようございます」

「おう、おはよう…って大丈夫か⁉︎」


朝学校に行くと何時もの様に小毬が途中で一緒になる。


別に約束したわけじゃない。


たまたま一緒になるんだ。



今日はシネラリアの花を持って学校に来た。


「死ねラリア」と間違えられるらしい。



「大丈夫です。

ただ…朝から気味が悪いモノを見てしまって…


迂闊でしたわ。

放置しておくべきでしたわ……」


何故か顔色の悪い小毬が無理をしている様な顔で笑う

その笑顔を見て、昨日の話を思い出す。


「後悔すんじゃねえぞ」


尊さんのその声が頭に響く


「え?

あの…聡さん……?」


「…え?


あ……わ、悪い!つい…」


気付くと俺の手は小毬の頭に触れていて撫でていた。


なんで…⁉︎


無意識にやってた……


「ふふふ

嬉しいですわ…


聡さんから触れてくださるなんて…

もっと……もっと、触れて下さいませんか?」

「あ…えっと……」


「冗談ですわ

わたくし、先に行ってますわね


それでは…また」


小毬が俺の手を握って頬に当ててくるのに、恥ずかしがってたら笑って先に行ってしまった。


あ……


一番言おうとした事言わずに何恥ずかしがってんだよ!


…どうせ誰もいない。


そう考えて俺は久しぶりに大きな声で話す。


「小毬!


辛い事があったら…すぐ俺に言え‼︎





俺に出来ることだったらなんだってやるから‼︎」


「…………っ!」


俺が叫ぶと、小毬が遠目でも分かりやすいくらい驚いていた。


そして、立ち止まると口元に手を当てて走り去ってしまった。




あれ?


もしかして…俺、やらかしたか?