*KISAside*

「何時までそこで隠れてるつもりだ?



……小毬。」

俺がそういうと生徒会室の扉が開く。

そこには、最近転校してきた後輩の小毬がいた。

射抜くような目で俺を見る。

そして、棘のこもった口調で言う。

「…貴方には名前で呼んでもらいたくありませんわね。

木佐遊樹。」

「はあ。

随分俺も嫌われたんだな」

「当たり前ですわ。

お姉様を見殺しにしておいて…!」

……お姉様………ね…

……由莉…

「確かに俺のしたことは忘れることも…いや、忘れることなんて出来ない。

それに、由莉のことは忘れたくない。愛してるから」

「巫山戯ないでくださいまし!

愛しているなら、何故見殺しにしたのですか⁉︎

愛しているなら、何故お姉様の願いを叶えて下さらなかったのですか⁉︎」

……何故…か。

俺も自分に何回も何回も何回も問いただした。

なんであの時行かなかったのか。

なんであの時愛してるって言わなかったのか。

俺もわからない。

本当は言いたかった。

守りたかった。

なんで、それを実行しなかったのか。

自問自答する度に自分が嫌いになる。

俺自身を殺したくなる。

俺自身の存在を消し去りたくなる。

由莉のところに行きたくなる。

でも、それを尊さんは許してくれない。