「清水小毬(しみずこまり)と申します。

どうぞ、仲良くしてくださいまし。」

……忘れかけていたものを思い出す感覚というのは、かなり突然やってくるもので

俺も、彼女を見た時にはなにも思わなかったのに、その声をその話し方で思い出す。

…………清水小毬。

俺の…初恋相手……

告白なんて出来るはずもなかった、小学生の俺たちの太陽。天使。

俺のことなんて覚えていないだろう。

そんなことを考えていた。

すると、急に男子が立ち上がり彼女に質問する。

「はいはーい!

質問いい?」

「いいですわよ」

「彼氏っている?」

「…いませんわ。

でも…慕っている方はおりましてよ?」

軽く微笑みながら答える彼女。

手を口元に持っていってクスクスと笑う。

「え⁉︎まじ⁉︎

誰?誰⁉︎」

「……申し訳ありません。

それは…乙女の秘密ということで」

人差し指をピンと立て自身の唇に当てる。

その間も端麗な顔に微笑みを浮かべていた。