私はにこにこと笑ったままで続けた。

「女はね、結婚するまではいつ嫁に行くんだと散々言われ、結婚したらしたでいつ子供作るのと聞かれ、やっと一人目を生んだら二人目はいつ?一人っ子なんて可哀想よ、と言われ、男も女も産むまではずーっと余計な一言を言われ続けて、挙句の果てに子供4人とか産んだら、お盛んね~とか、お金をかけてもらえない子供達が可哀想よ~、とか言われるんです」

 益々その場の空気が冷えた。

 ふん。

 私は鼻で嗤ってカウンターを拭き出す。

「でも大丈夫ですよ~、慣れてますから~」

 トドメにもう一度言っておいた。

 凍えろ凍えろバカ親父共。全員で凍えて熱燗を大量に注文してくれ。てめえらのお気楽な一言で全身針で刺されるかのような痛みを味わう女もいるんだぞ。

 言われるだけでも痛いのに、その後謝られてしまった日にゃ・・・。どこからもフォローがこず(まあ、そんな勇気がある男がいるとは思えないが)、余計痛くて寒い時間を過ごす羽目になるのだ。

 何となく、もそもそと皆が食事に没頭した。

 私はぼんやりと考える。

 ああ、やっぱり年貢の納め時かもなあ~って。

 あのよく判らない同級生と、契約結婚。それが私にはお似合いなのかも。少なくとも、誰かのダンナに手を出したりみたいな迷惑をかけるわけではないんだし。

 慰謝料を請求されることもないし。

 愛なしの義務エッチはしなくていいらしいし。

 とりあえず「ご結婚は?」攻撃からは避けられるし。