既に自分のご飯を食べ終わっている前の男は、そんな私を見ながら言った。
「こんなんでなくて、所謂お見合いはしてみたのか?」
私は顔をあげて、首を横に振った。
「知り合いからの紹介でブラインドデートは3回ほどしたけど、写真みせて世話してもらって、ってのはない」
「その3回のデート相手では何がダメだったんだ?」
・・・ううん、ま、聞きたくなる気持ちは判る。ヤツは私のことを知らないし、あっちにしてみたら結婚したがっている女がどうして未だに独身なのかが気になるんだろう。
私はコップから垂れた水を指でテーブルに伸ばしながらぼそぼそと説明した。
「社会人になってからの自発的な恋愛はすべからく失敗したの。で、紹介して貰ったその3人は、順番に言うと、極端な折半主義者とナルシストの医者と異常性癖の男だったの」
少し首を傾けた。
「・・・判るような判らないような」
「一番は、タクシー代から食事代から全てを1円単位で割り勘にする人だった。きっちりするのは構わないけど、私は今のところフリーターだから金銭的に余裕もない。結婚してからもそんな感じで管理されたんじゃストレスが溜まって仕方ないと思ったの」
彼は頷いた。1円単位で割り勘とか、計算のほうが面倒臭いな、とヤツらしいコメントもした。
「二番目は、一緒にいる時間のほとんどを自分の自慢話で満たしていた。その内容が小学生みたいな自慢話だったので、聞いているのが本当に苦痛だった」
また頷く。自慢話が好きなヤツは、基本的に自分に自信がないんだろうな、と呟く。


