「・・・それで、どう思った?」

 両目を閉じたままでずるずると更に深くだれながら応えた。低い声で。

「・・・別に。面倒臭いから、何でもいい、と思った」

 ――――――あん?

 私はせわしく瞬きをして心持ち身を乗り出す。

「いやいやいやいや、あなたねえ、面倒くさいとかのレベルじゃないでしょうが。結婚しろって言われたんでしょ?嫌じゃないの?」

「・・・何とも思わない」

 こいつは壊れてるぜ、確実に。そうか、外見やその他に不備は見当たらないが、性格がこれだから独身だったんだな!と私は大いに納得した。

「つまり誰でもいいってこと?結婚をするのは面倒臭くないの?」

 私の声にトゲを感じたか、やっと目を開けてこっちを見た。そしてゆっくりと体を起こしてちゃんと座ると、だら~っと話だした。

「結婚願望もないけど、独身願望もあるわけじゃないんだ。強いていえば、あまり恋愛に興味がない。誰かと付き合ったりあわせたりするのも面倒臭いから今までそんなことにならなかっただけ」

 ・・・ああそうかよ!私は今度はハッキリむかついた。

 どうせ結婚願望ガンガンの私はことごとく失敗してきましたよーっだ。くっそう、何だよこの男。

「で、どうするの?」

「・・・どっちでもいい」

 このバカ野郎~!!私は思わずフォークの所在を確認した。いざとなったら(つまりブチ切れたら)いつでも振りかざして刺せるように。