翌日、私は母親に指定された場所に仕方なく向かう。

 まだ私が寝ている午前中に、相手の母親と電話をして待ち合わせ場所を決めたらしい。

「ま、お見合いだし、私達は遠慮するわ。久しぶりで積もる話もあるでしょうし、存分に盛り上がってきて~」

 と玄関先で笑顔を手をふる母親をうんざりして見た。

 クラスが一緒になったこともない男と、一体何の積もる話があるというのだ。

 時間は午前の11時半。待ち合わせして、お昼でも食べながら今後のことについて話合え、だと。

 畜生。

 あ~・・・どうしよう。昨日見た高校の卒業写真で、興味なさそうなダレた顔で写っていた男を思い出す。

 ひょろりと痩せていて、顔に「どーでもいー」と文字が書いてあるような彼が、今ではビール腹で禿げかけてて口臭なんかしたら・・・。

 想像して気分が悪くなった。

 どういう経緯でかは知らないが、学生の時には生徒会の会長なんてやっていた男だ。少なくともその点、目立ちたがりか点取り対策かの頭が働いたんだろうし。

 何だか什器のレンタル会社?か何かで働いているとか母親が言っていたけど、それってつまり何をする会社なんだろう。専門職とか?うわあ~・・・鼻持ちならない傲慢野郎だったらどうしよう・・・・。

 しかし、勝手に色々想像して不安になっていた私の前にのっそりと現れたのは、有難いことに、そんな想像とは違ってまともな外見の男性だった。