私が恋する不器用男子


私は屋上をあとにした。

一人になった男の子は泣いていると思う。

恋って残酷。

必ず誰かは悲しむんだもんね…

校舎を出たとき思いもしない人が立っていた…

「…懸瑠?」

そこには壁に背をつけ腕組みをする懸瑠がいた。

こんな時間になにしてるんだろ。

誰かと待ち合わせ?

でも誰とだろう…

もしかして懸瑠も誰かに呼び出されたとか?

「なぁ、佐山はなんて答えたの?」

「答える?って手紙の?」

「それしかないだろ」

さっきよりも不機嫌そう。

イケメンが怒るとこんな可愛いんだね…

懸瑠が怒ったとこ初めてみたかもなぁ。

友達といてもほとんど笑わないからね。

「ちゃんと断ったよ」

「は?なんで」

なんでこれも怒るわけ!

どの答えも気に入らないの!?

「なんでって…」

《《懸瑠のことがすきだから》》

言いたいけど心の中で呟くだけ。

「まぁ、いいや」

懸瑠は不機嫌そうな表情は変えず帰って行った。

その道とは違う道を、私は一人歩いて帰った。