ーー顔に汗が滲む、つたう。
自転車を降りた途端にこれだ。
毎朝毎朝、嫌になる。
気休めだとはわかっていても、
手でパタパタと顔を仰ぐ。
容赦ない日差しから逃れるように
駐輪場に向かう。
タオルで汗を拭い、
下駄箱で上履きに履き替え、
階段を上る。いつものこと。
教室の扉を開き、席につく。
汗がようやくひいてくる。
その頃に校門をくぐる人。
窓から見える。そう、いつものこと。
その人が教室に入ると空気が変わる。
自分だけかもしれない、
そんなことを思うのは。毎朝、毎朝。