横から冷たい視線を感じる。



でも、その視線を追わなくても誰だか分かる。



だから見ない。



「……正直言って、この曲を歌うみんなを見たくない。



好きとか愛してるって言葉は軽々しく使う言葉じゃないと思うし



こんなに1曲の中にその言葉が並べられてたら



ドキドキどころかモヤモヤしてきて



どんなにこの後つける曲が良くてもあたしはこの歌詞は考え直すべき!



……だと思います」



最後まで強気でいられなかったよ。



音楽室にはしーんとした冷たい空気が流れてる。



航平くんだけじゃなくて、周りの3人も何も言わないし。



完璧……第2音楽室出入り禁止だ。



でも言いたいことははっきり言えたし……これでいい。



あたしはそのまま第2音楽室のドアに足を向けた。