あたしは涙を両手で拭って、目をぎゅっとつぶった。



彼らが本気でバンドを頑張っているんだったら……



あたしも気になったことははっきりと彼らに打ち明けよう。



湊くんっていうこのバンドで一番気難しそうな人に言うことができたんだから



広夢くん、祐くん、そして高校を卒業してからも続けたいと思っている航平くんにも……



この曲をブルーウィンズのみんなに歌って欲しくない、と。



それで、さっきのように“いらない”と言うのなら



こんな上下関係が逆転してる所からさっさと出てくもん。



このバンドだって二度と観に来ない。



もっと色んな音楽を聴いて自分に合った音楽を探せばいい。



だってこのバンド、ブルーウィンズが音楽の全てじゃない。



この広い世界には日本だけじゃなくて、世界にもたくさん音楽を頑張っている人たちがいるのだから。



あたしは音楽準備室のドアに手を掛けて、グイッとドアを引いた。