「うー……ぐすっ……」
あたしは何でこうやって泣いてるんだろう。
どうしてここにいるんだろう。
なぜ、バンドの一員である湊くんには言えたんだろう。
……分からない。
またバケツの水を一気に頭に被せられたかのように
初めて会った頃と同じように言われてしまった。
でも彼の言葉には何一つ間違ってることはなかった。
彼の気持ちはあの彼の眼差しは絶対に本気だった。
美紀のようにただのブルーウィンズのファンでいた方が楽に決まってる。
でもそれでも、あの4人をブルーウィンズをもっと良いバンドにしていくために
後夜祭で見ていたあたしを選んで、素直な気持ちを聞かせてほしいって言ってくれたんだ……よね。

