「だったらそれをそのままあんたは伝えればいい。
ただそれだけだ」
他に言うことなんてないって表情を浮かべた湊くんは、あたしの顔をもう一度見て準備室から出て行こうとした。
湊くんは分かってないよ。
そんなこと言ったら絶対に彼らは傷つくに決まっている。
歌詞もやっと出来上がってきて、これでやっと作曲の方に入れると思ったら
「この歌を歌って欲しくない!」って言われちゃうんだよ。
でもその反面、イベントのために練習して披露する他の有志のグループとは全然違うんだから
ブルーウィンズには彼らに合った言葉と音楽で……
人の心を動かしてほしいっていう気持ちがある。
あたしは勇気を出してぎゅっと湊くんの手首を握った。

