ブルーウィンズ~ラブソング嫌いなボーカリスト~




「あぁ。よくわかんねぇけど、結愛も頑張れよ。



俺の用はもう済んだから帰るよ。



歌詞できて良かったな。その曲できたらまた前みたいに聞かせろよ」



一方的に言うと、樹は非常階段の方に歩いて行った。



あたしはその背中を見えなくなるまで見つめる。



樹はきっとあたしの作った歌詞が上手く行ったかを知るためにわざわざ来てくれたんだ。



あたしの家に入らないで寒い中待ってまで心配してくれたことがうれしいのに



気持ちに答えられなかったことが申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



だけど、あたしの気持ちはもっと強くなった。



揺るいだりしない。



今できることはあたしの作った曲を精一杯気持ちを込めて歌うこと……それだけなんだ。