ブルーウィンズ～ラブソング嫌いなボーカリスト～

「この間のことあって少しは意識してくれたと思ったのに全然駄目だったんだな。



お前の好きなヤツに負けたよ」



無理して笑う樹の表情を見て、胸が痛む。



そして、全然気付けなかった自分がどれだけ鈍感だったんだろって思う。



「……ごめんね」



もうこれしかあたしは言えない。



樹に対して、あたしは湊くんのような気持ちは持つことができない。



あたし……湊くんのこと本当に好きなんだ。