音合わせが終わって、家に帰るとあたしの家で待っている樹の姿があった。
「……樹?」
いつも用がある時は家に上がって待ってるのに。
変なの~と思ったけど
それと同時に、この間あたしが泣いた時に抱き締められたことを思い出した。
「おっ!結愛?今日もバンド練習行ってきたの?」
「うん!今日メンバーに歌詞持って行ったらOKもらえたんだよ!」
あたしはいつもどおり話してみることにした。
樹と気まずくなったことなんて、小さい頃にケンカした時くらいだし
ここ最近は全然なかったから、自分の中では何もなかったふり。

