それからも取っ換え引っ換えするお姉さんに、学校では悪い噂が立つようになって



それは関係ない湊くんまで“軽い女の弟”として見られるようになり



“今好きじゃなくてもこれから好きになればいい”の考えのお姉さんが大嫌いになった。



そしてそれだけでは済まなかった湊くんはラブソングだけじゃなくて、



恋自体を“胡散臭い”、“余計なもの”、“自分には必要ないもの”と考えるようになってしまった。



「……それで今の湊がいるってことです。



アイツもアイツなり悩みがあって、きっとラブソングを歌いたいって気持ちもあるんでしょうけど



過去を乗り越えられない今、どうしても歌いたくないんでしょうね」



「そうだったんだね。ただ恥ずかしくてラブソングを歌いたくなかったわけじゃなかったんだね」



祐くんはこのことも知った上で始業式までに曲を作ってみてくださいと言って階段を駆け下りて行った。