「今日やってて楽しくないって思ったけど
いつの間にか周りに自分をみてもらいたいってそんな気持ちばっかりなってた。
あたしの悩み、そう言えば弾くことじゃなくてどれも周りを気にしてばっかりだった。
どうして……」
分からない。
なんで周りばっかりそんなに気にするようになっちゃったんだろ。
あたしはブルーウィンズと一緒に曲を作り上げるために弾いてるのに。
ゴロンとうつ伏せになっていた体を仰向けにして壁を見つめる。
「そんなの、披露するのは生徒たちなんだから周りの反応に敏感になるのは普通だろ。
ただそれだけじゃねぇの?
変なことで悩むなよな」
聞こえた方に視線を寄せると開けっ放しにしておいた部屋のドアの前に立っている樹の姿があった。

