だけど、その顔を見て湊くんは笑うどころか……かなり引いた顔をしている。
「はぁ……。あんたってどこまでもアホだな。
それじゃあ、弾ける曲だって弾けなくなるだろ」
そう言って湊くんはスっとわたしの手を取って握った。
アホは余計だ!と思っていると、予想外なことをされてわたしは固まるしかなかった。
ちょっと、え?
「ほら嘘つき。緊張してんじゃん。
手だってかなり冷たいし、バカな奴」
「湊くん、さっきから本人に向かって暴言吐きすぎだよ」
「俺はどっかの誰かと違って正直だから、
思ったことをそのまま本人に伝えてるだけ」
そう言いながらも、握ってきた手はそのまま。

